Yamamotoの日記

Yale SOM MBA、金融工学、技術関係の記事を書きたいです

大きな政府と小さな政府?

発端

アメリカには民主党共和党という、二大政党がありますね。大学生時代に、選挙制度を分析すると、各有権者が自身の票の効果を最大化するので第n政党までできるかがわかる、という話を授業で聞いた気がします。
僕はアメリカの中でも共和党が強い州に駐在中なのですが、先日、同じくアメリカ在住、民主党が強い州にいる父親に会いに行ってきました。最近政治に傾倒している父曰く、「うちの州は民主党に支配されてて、社会保障ばかりに金を 使い、投資がされない」とのことです。

父親に反抗したいお子ちゃまな僕(アラサー)は、「ほんまかいな?」という疑問のもとちょっと調べてみました。

民主党 or 共和党

さて、とりあえずどの州が民主党寄りで、どの州が共和党寄りなのかを調べてみましょう。こういうのがネットで拾えるのはすごいです。2018年1月時点の議会の様子です。赤が共和党、青が民主党、グレーはSplit Controlとのこと。

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Political party strength in U.S. states - Wikipedia

カリフォルニア、ニュージャージー民主党なのはわかるとして、NYがSplit Controlなのは意外ですね。南部、中部の州はほとんどが共和党です。歴史の通り。な感じですね。

大きな政府と小さな政府

今更かつ大変雑ではありますが、共和党は再分配に否定的な小さな政府、民主党は弱者保護を是とする大きな政府という特徴があります。(ですよね。。。?)

omosirorekishi.com

ということは、民主党では、議会の予算に占める再分配関連費用の割合が高いはずです。今どきの政府は当然市民に予算を公開しているはずですので、見に行ってみましょう。(余談ですが、米国の公的機関に比べて財務省のサイトはめちゃくちゃ見にくく、予算の内容がわかりにくいです)

民主党共和党、それぞれ代表的なカリフォルニアとテキサスを取ってきます。予算の大きい/小さいはGDPを見ないとわからないので、GDPも貼り付けておきます。

数字を簡単にまとめたものがこちら。ざっくりですが、特徴は捉えているかと。 なぜかテキサスは社会保障関係のコストが全くないんですが、Government Salaries and Wagesなる項目があるので、おそらくこちらに入っているのでしょう。というわけでGovernment Costを入れてます。この中の一部が社会保障費、ということ(推測)は、テキサスの社会保障関連予算はもっと低いということですね。 f:id:maxonblog:20180924104444p:plain

カリフォルニアは民主党なのに大きな政府じゃない / テキサスは共和党なのに小さな政府じゃない

社会保障費が予算に占める割合は、カリフォルニア76%、テキサス54%と、確かに民主党/共和党の特徴は出てますが、それよりも見てほしいのは、GDPに対する予算の比率です。 カリフォルニア 7.32%、テキサス20.46% !!!!! いやいやいや、テキサスでかすぎやろ。民間企業の投資によって成長するんちゃうんかい。政府支出にかなり頼っとるやないか。再分配しないということはこの支出を取り込んでいる層(予算によるとインフラ投資っぽい)がいるわけで、既得権益の大きさを感じます。 ちなみに、カリフォルニアの予算で大きいのはK-12 Education(初等教育)とHigher Education(高等教育)なので、教育分野に力を感じていることがわかります。もちろんその代わりに、インフラ投資の予算がほとんどないです。以前行ったとき、確かに街はすごく汚くて道路はボロボロ、行政サービスも全然動いてなかったです。(尚、テキサスは行政サービスにクソ程金を使っているのにクソサービス)

社会全体として教育に金を使い、個人の活躍を支援している政府か、インフラに金を使って運転しやすい道路を作っている政府か、住むならどっちがいいんだろうね。

数字をちゃんと見て、ファクトベースで判断しましょう

最近データサイエンス(笑)だのAI(笑)だの流行ってますが、そんなものを導入する前に数字を見てファクトベースで判断する習慣をつける方がいいんじゃないすかね。知らんけど。

ほな。